兼六園観光協会 宇田直人 KANAZAWA EXPERT #6

「KANAZAWA EXPERT」は、昔からの文化が息づく街・金沢で、伝統の技や金沢の歴史・文化を訪れる人たちに発信している作家や職人、その道のプロフェッショナルたちをご紹介する企画です。金沢を熟知する案内人でもある方々に、ここでしかできない体験や金沢の楽しみ方をお聞きします。


今回は兼六園内にある日本最古の噴水前にある料理屋「兼六亭」四代目であり、兼六園観光協会理事長として兼六園の魅力発信に尽力している宇田直人さんに話をお聞きしました。

季節の移ろいを感じられる、日本屈指の大名庭園

  • 兼六園のカキツバタ

  • 冬の風物詩「雪吊り」と夜のライトアップ

  • 観光シーズンの秋は紅葉狩りを楽しめます

  • 兼六亭は2022年にリニューアルオープンしました

  • 日本最古の噴水前に「兼六亭」はあります

石川県を代表する観光名所、兼六園。その魅力を教えてください。


兼六園は偕楽園(水戸)、後楽園(岡山)と並ぶ日本名園の一つとされています。江戸時代の代表的な大名庭園として、加賀歴代藩主により長い歳月をかけて形づくられてきました。「廻遊式」の要素を取り入れており、土地の広さを最大に活かして庭のなかに大きな池を作り、築山(人工の山)を築き、御亭や茶屋を点在させ、それらに立ち寄りながら全体を遊覧できる庭園となっています。


子どもの頃から自分の庭のように慣れ親しんだ兼六園ですが、進学を機に一度石川県を離れてUターンしたときに、改めてその素晴らしさに気付きました。都会ではなかなか感じることのできなかった四季の移ろいや季節を肌で感じることができるというのが、一番大きな魅力だと思います。


宇田さんはどのような経験を重ねてこられたのでしょうか。


兼六園の茶店は全て一子相伝で受け継がれてきたので、幼い頃から将来は当然自分が継ぐものだと思っていました。大学進学にあたり上京し、卒業後は都内の企業に勤めていましたが、北陸新幹線金沢開業を6、7年後に控えたタイミングでUターンしました。2018年に「兼六亭」の亭主になり、2020年に兼六園観光協会理事長に就任しました。兼六園の良さや素晴らしさをより多くの方に広め、知っていただくのが私に与えられた一番の仕事です。


兼六園は北陸3県で最も多くの観光客が訪れるスポットです。そういう意味では、あまり気負いすぎるのも良くないですが、北陸の観光は兼六園が引っ張るくらいの心構えで取り組んでいますし、責任がある分やりがいも大きいです。挑戦してみたいアイディアが次々と湧いてくるので、楽しいですよ。いつかは兼六園の「園長」になるのが目標です(笑)

知れば知るほど面白い、
兼六園が持つ「ストーリー」を伝える

兼六園観光協会には専門ガイドが所属しているほか、最近では音声ガイドサービスを使った多言語対応も始めました。兼六園観光協会が提供するガイド事業(体験)のポイントを教えてください。

ガイド事業(体験)は大きく分けて2つあります。一つ目は、スマートフォンひとつでいつでもどこでも利用できる多言語対応の音声ガイドサービス。二つ目は、知識を持ったスタッフによるスペシャルなガイドサービスです。後者では、インターネットで検索しても出てこないような驚きや発見にあふれたガイドを展開しており、「兼六園には何回も行ったことがある」という人にも新鮮に楽しんでいただけるような内容になっています。


兼六園観光協会が最も力を入れて取り組んでいることが、兼六園が持つ面白さを伝えるということです。園内の代表的なスポットをただ伝えるのではなく、兼六園の成り立ちからストーリーに基づいてガイドをしています。その一つに兼六園をサステナブルの観点から巡るコースがあるのですが、例えば園内を流れる水は、昔はポンプなどの動力を使わず標高差と水圧だけで金沢城へ流れていたことだったり、雪吊りに使うわら縄は使用後に刻んで堆肥として利用していたりすることをお伝えすると、みなさん関心を持って話を聞いてくださいます。今後はお殿様の一日を体感するガイドや、兼六園を日頃メンテナンスしている庭師についてのガイドの制作も予定しており、どんどん充実させていきたいと思っています。

金沢は、自分を輝かせてくれる街

  • 長町武家屋敷跡

  • ひがし茶屋街

  • 兼六園のシンボル「ことじ灯籠」

金沢の魅力や、おすすめのスポットを教えてください。


金沢は戦争の被害を受けなかったことから、昔からの建物やスポットが多く残っており、兼六園やひがし茶屋街、長町武家屋敷跡など随所で歴史を感じることができるのが魅力ですよね。もう一つは、海の幸と山の幸の両方に恵まれているということ。金沢を訪れる方には、ぜひ食を楽しんでいただきたいと思います。


宇田さんにとって金沢とは何でしょうか。


自分を輝かせてくれる街、でしょうか。「兼六亭」の四代目として生まれ育ったことから、兼六園や金沢そのものが人生になっていると言っても過言ではありません。金沢の魅力を多くの人に伝える仕事はとてもやりがいがありますし、金沢のおかげで人生が豊かになっている、そのように感じています。


兼六園観光協会 宇田直人さん

1974年、「兼六亭」四代目として生まれる。高校を卒業後、東京都内の大学に進学。会社員を経て2008年にUターン。2018年、「兼六亭」亭主に就任。2020年より兼六園観光協会理事長を務める。

紹介したスポットをマップで見る

地図を開く
  • 兼六園
  • 兼六亭

Google Mapの読み込みが1日の上限を超えた場合、正しく表示されない場合がございますので、ご了承ください。

ページトップへ