金沢旅物語

金沢はあらゆる食材が集まる、まさに「食の宝庫」。とりわけ冬季は、日本海で水揚げされる鮮度抜群の海の幸を最大限に堪能できる絶好のタイミングです。
ズワイガニを筆頭に、甘エビや寒ブリなど、旬の魚介を気軽に食べさせてくれる割烹や居酒屋が多数。海の幸に恵まれた土地ならではの味にも出合えます。

冬の味覚の王者　ズワイガニ

全国で呼称が異なるズワイガニは、石川県ではオスを「加能（かのう）ガニ」、メスを「香箱（こうばこ）ガニ」と呼び、毎年11月6日に漁が解禁され、翌日から市場がかに一色に染まり活気づきます。加能ガニの漁期は3月20日まで、プチプチした食感の外子と濃厚な旨味の内子を抱いた、香箱ガニは年末までの希少品です。

金沢港に水揚げされるカニの漁場は、カニのエサとなプランクトンが豊富な砂泥地にあり、足が長くておいしいカニが育ちます。港から漁場が近く、日帰り漁が可能なので鮮度が抜群。身が詰まっていない脱皮したてのカニは資源保護のため禁漁としています。それゆえ、金沢の多くの飲食店や市場では質の高いカニが提供されるのです。

海のスイーツ　甘エビ

秋から冬にかけておいしい日本海の幸といえば、なんといっても甘えび。ぷりぷりの食感と、舌の上でとろけるような甘味がたまりません。青い卵を抱える冬はいっそう味わい深くなります。刺身や寿しなど生食が定番です。

冬の高級魚　寒ブリ

「ぶり起こし」と呼ばれる、雪が降る直前の雷鳴とともにブリ漁が始まります。冬の厳しい寒さと荒波にもまれて引き締まった身に脂が十分にのった寒ブリは、まさに絶品です。醤油をはじくほどの脂のおいしさを堪能できるお刺身はもちろん、ぶりしゃぶやぶり大根で味わうのもおすすめ。

加賀料理の定番　治部煮（じぶに）

加賀百万石のおもてなし料理として今に受け継がれる伝統料理の一つ。鴨肉に小麦粉をまぶし、特産品のすだれ麩や野菜と一緒に煮込んだ料理で、市内の老舗料亭などでは「治部椀」と呼ばれる専用の器で供されます。とろみのある煮汁にわさびを溶かしながらいただきます。

伝統の発酵食　かぶらずし

塩漬けしたかぶらにブリを挟み、米糀で発酵させた「かぶらずし」は、江戸時代初期から続く加賀藩由来の正月料理です。高級食材を使うため、一般的に定着してからはまだ100年ほど。それでも脂がのったブリとかぶらの妙味は、今やお酒のアテとしても愛されており、金沢きっての「通」の冬グルメです。

出汁が命！　金沢おでん

金沢の名物グルメとして人気が高い「金沢おでん」。市内のおでん店で通年楽しめます。車麩、赤巻、ふかし、ひろず、バイ貝、かに面、加賀野菜のひとつ源助大根など、金沢ならではの季節の具材に各店秘伝の出汁が染みた至福の味わいをぜひ。

江戸時代から工芸がさかんな金沢には、様々な種類の伝統工芸が市民生活の中に息づいています。専門店や工房には気軽に体験できる店も多数あり、職人技を間近で見たり、職人さんや地元の人とふれあうことができるのでおすすめです。冬の金沢旅の記念に、クリスマスやお正月の品を作ってみませんか？

金沢から１〜２時間ほど足を延ばすと、違った魅力のあるエリアもたくさん。海や山の美しい風景を眺めたり、世界遺産の合掌造り集落を散策したり、非日常を味わえる寺社仏閣に身を置いてみたりと、金沢プラスアルファで欲張りな旅を実現してみませんか。公共交通機関ではアプローチしにくいところへは、日帰りバスツアが便利です。

四季折々の魅力あふれる金沢。秋や冬にぴったりのコースをご提案します。